Case05

  • HOME
  • 豊浦農家人
  • 【農業×IT】環境データを使い、土を使わない「水耕栽培」とは

株式会社アド・ワン・ファーム取締役 豊浦農場 農場長 井上誠さん

「水耕栽培」というのをご存知だろうか。天候によって作物の生育状態が左右されやすい農業だが、その日の日射量や気温によって、ハウス内の環境を調整したり、手元のスマホで環境データを細かくチェックできる農業がある。

農業×IT

「僕たちの農業はシステムとマニュアルに従って環境データを細かくチェックする、水耕栽培を行なっております」農業のイメージとは少し違った単語が並ぶ。

「水耕栽培は腰を曲げないで作業ができ、自動化されている環境制御器がついているので、ハウス内を設定した気温や湿度に自動的に調節してくれます」従来の農業はどうしても腰を曲げての作業が多くなり、ハウス内の温度調整も熟練された親方の感覚を頼りに調節する農家が多い中で、水耕栽培はデータを使って農業を行う。

農作業の大半は立ちながらすることができ、ハウス内の温度や室温、日射量もデータ化して管理できる。このような水耕栽培に取り組んでいる井上さんだが、もともとは農家ではなかった。

短期間で多くの経験を得ることができる水耕栽培

「ここで働く前は10年ほど建築関係で働いていました」

以前の仕事をしている時に父親から農業をしてみないかという誘いで、勢いよく農業に飛び込んだ。その時にアド・ワン・ファームでの水耕栽培を知って、これなら自分にもできそうだと思い、携わり始めた。

なぜデータをたくさん取り扱う難しそうな水耕栽培を自分にもできそうな農業と感じたのか聞いてみると、農業では1年に一度しか経験できないことを水耕栽培は年間で最大12回経験できることがわかった。

それは「収穫」である。北海道の多くの農業は年に一度しか収穫をすることができない。ということは年に一度しか、試行錯誤ができないということである。

それに引き換え、水耕栽培では品種によってサイクルは異なるが、小さな作物なら12回、少なくても6回は収穫することができる。すなわち、1年間で多くの試行錯誤をできるため、短期間で多くの経験ができる。

「短期間で多くの経験をできると思い飛び込んだのですが、予想通り多くの時間をかけずに経験を積むことができました」と当時を振り返る。

「豊浦で農業をするなら、土地の特性を学び、豊浦の環境グセを感じてもらいたい」現在、豊浦町役場からの紹介で2人の研修生が在籍している。アド・ワン・ファームでは毎日、日射量、外気温、風向き、といった細かいデータを目で見て分かるようになっている。このように毎日データを取っていると、豊浦の時期ごとの気象の特徴や温度変化、いわゆる環境グセをデータとして見ることができる。

「ここで得たデータを参考にして独立する際にどの時期に、どのような作業をするかなど参考にしていただければ面白いのではないかなと思う」

自分たちの得たデータを惜しむことなく、研修生に教える。その姿から男気を強く感じたのは言うまでもない。

最後に

そんな男気溢れる井上さんが

「豊浦は北海道の中でも道南地域に位置していて、野菜を作る上での日射量が十分にあり、海も山もある、休日に遊ぶこともできるし、僕も豊浦から離れることができないかな」

と語った。

豊浦はデータ的側面から見ても、農業をするのに程よい環境で、プライベートを過ごす環境も充実をしている。夏と冬でも景色や遊び方など変わる。そしてその移りゆく環境データを計測して活用し、現代の技術を駆使して行う水耕栽培。その技術や収集したデータを新しく豊浦に来た人に包み隠さず伝える理由の根元には、離れることができない豊浦への愛を感じる。