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  • 「技術よりも地域との関わりが大切」研修生と地域をつなぎ、これからの豊浦を支える農家を育てる

北海道指導士 豊浦町農業委員会 会長 福原芳美さん

これまで3組の教え子が自分の元から巣立って就農している、そんな彼ら、彼女らを厳しくも温かく育て、いわゆる「口数少ない農家の親父」とは少し違う印象の笑った顔が素敵な親方。40年間、豊浦で農業をしていて最初は酪農を営んでいたのだが現在、いちごと花を夫婦で栽培している。

「農業は手を抜こうと思えばいつでも抜ける。しかし仕事のできるうちは良いものを作る努力を惜しまない」自分たちが思った形の農業をするために、ほとんど外部から人の手を借りないで育てている。しかし農業をする上で技術よりも、地域との関わりが大事だと語る。

地域との関わり

たとえいちご農家になりたいという志を持って研修に来ている人にも、他の農作業もやってもらう。そしていちごだけじゃなくて、他の仕事もできる農業者になってほしい。最初は酪農をやっていたが土地問題もあり、試行錯誤の上、今のいちごと花を育てる事に至った経験の元に出てくる教えだろう。

本州から来た研修生がたまたま杵と臼を持って来ていて、せっかくだから餅つきを地域の人も巻き込んでやったら好評で、最近では餅つきだけではなくカラオケにも行く。参加する人達のほとんどが夫婦で参加していて「最近は参加者が増えすぎて困っているよ」と嬉しそうに語る。
このように地域住民の人と研修生との交流で地域も活性化するし、街全体としてもウェルカムだ。

なぜそこまでして地域の人と研修生を繋げるのか聞いてみると「農業は1人ではできないから」だという。
農作物を育てるだけなら個人でも可能だ、しかし市場に出すとなると地域からある程度ロット(数量)が取れないと、ブランドの兼ね合いなどもあり、市場から相手にされない。研修生も自分の所を出たら立派な農家。研修のうちから地域の人と交流をして、独立したら対等な立場で力を合わせていきたい。

卒業した研修生との関わり方

「研修が終わったら新規就農者ではなく同じ農家として、対等な立場」だからこそ中途半端な気持ちでは来てほしくない、夢と現実は違う。しかし農業に対する熱い想いを持って来た人にはしっかり教えるし、成功してほしい。自分たちはあと何年も仕事ができないから、今研修に来ている人たちや、これからの人たちに豊浦を支えていってほしいという気持ちがある、そのために一所懸命教えている。

福原さん自身も後継者がいない中で、研修生が自分たちの経営にマッチすればぜひ引き継いでほしいと思っている。そして同じような想いで、受け入れをしている親方も少なくない。

これからの豊浦について

「人がいないと地域は成り立たないから、まず農業者を減らさないこと、でも最後はみんなで楽しく農業をやっていきたい」
この言葉に福原さんの人柄や地域に対する愛を感じた。